秋田県と宮城県の県境に近い、標高1,100mの地に建つ公共のお宿は、その湯とともに絶景の露天風呂で有名です。
国内屈指の湧出量を誇る湯量は、なんと毎分6000リットル。
ここを訪れるのは実に13年ぶり。
前回は今回よりも少し遅い9月に入ってすぐの宿泊でしたが、到着した時には雪がちらついており、フロントのスタッフも「この時期に珍しい。」と話していたことを覚えています。
「栗駒山荘」の駐車場に到着した私たちを出迎えてくれたのは、思いもよらぬ豪雨でした。
これより少し前、山荘直下の国道342号線から周りの景色とともに施設の外観を撮影していた時には降っていなかったのですが…。
あまり嬉しくはない歓迎でしたが、しかたありません。
おかげでしばらくは車内に足止めとなってしまいました。ですが、その分期待感が高まります。
ようやく雨が小降りになったとろで急ぎ館内へ。
あの時と同じ、明るく開放的な空間。「変わってないなぁ」
名前こそ「山荘」とついていますが、サービス形態はホテルと同じ。
フロントでチェックインを済ませ、部屋へ向かいます。
この時、部屋のカギと一緒に施設案内図を渡されます。
1階にいるつもりでも、斜面に建っている施設なので実は3階。
本日の客室は同じフロアにある「こけもも」。
客室のドアを開けると、大きな窓が目に入ります。
本来なら、その先には絵画のような絶景が待っているのでしょうが、この日はあいにくの空模様。
残念ですが、天気ばかりは。
まずは一息ついて。
あの時から十年以上の月日が流れているにも関わらず、綺麗に使用されている印象を受けます。
もちろん室内も。
ここは自家発電で電気をまかなっているため、室内には冷蔵庫やエアコンはありません。
この宿泊時の天候だけでは何とも言えませんが、朝夕は涼しいので滞在時間内であれば、エアコンが無くてもそれほど気にならないかも知れません。
それにしても、天気が悪いとわかっていながらも、ここにいると外の景色が気になって仕方ありません。
見るたびに天候の回復を祈っているのですが、残念ながらなかなか通じません。
この日の山の神は、ご機嫌斜めだったようです。
でもまあ、ここに到着する前に野生動物との出会いを用意してもらったので、差し引きゼロかもしれません(笑)
落ち着いたところで、風呂へ。
「仙人の湯」と名づけられた大浴場は、フロント脇から。
宿泊者は、部屋番号が表記された棚にスリッパを入れ
廊下を奥に進みます。
ここから先が男女別の大浴場なのですが・・・。
許可無の撮影はNGと大きな掲示が・・・。ネットで公開することを考えてルールに従いました。
湯浴みを楽しんでいる先客も多数いらっしゃったので控えて正解だった、とも思っています。
宿の HP やFBでも紹介されていますので、露天風呂からの景色などはご覧になれます。
大浴場は、木造りの浴室全体の雰囲気も心地良く、硫黄臭とともに乳白色のお湯が迎えてくれます。
これが実にいいんです。
そしてその先に更なるお楽しみが待っている・・・ハズなんですが、この日の天気では露天風呂からの景色は・・・涙。
日本でも稀な泉質の強酸性みょうばん緑ばん泉の湯を堪能した後は、夕食を待つばかり。
すでに心身ともにリラックス状態ですから、受け入れ態勢は万全です。
夕食は、「午後6時~」か「午後7時~」かのどちらかをチェックイン時に選択します。
時間が来たら、2階の展望レストラン「くりこま」へ。
会場の一部は、吹き抜けとなっています。
入口に座席表が掲示されていますが、近くにいるスタッフが席まで案内してくれます。
席に着き、すでにいくつかの品がセットされた料理を目にすると、期待値が一気に上がります。
食前酒は、プラム酒
先附 長芋とろろ和え(みず・なめこ・菊花・とんぶり)
前菜 サザエの旨煮 みず瘤
ぜんまい胡麻和え
翡翠茄子じんだ和え
香茸天麩羅
蕨羽衣掛け
造り 岩魚 カンパチ ボタンエビ
山菜類は、山の宿に来ていることを実感させてくれます。
山のお宿で、海のものはいかがなものか。と、思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、物流が発達したこの時代ですから、
美味しくいただけるら少しくらいは良いかなと。
鍋物 笑子豚(エコブー)陶板焼き
秋田県産の銘柄豚です。柔らかくジューシーなお肉でした。美味しい料理でお酒が進み、この時点で、2本目のお酒をリクエスト。
こちらのお宿、ホームページで紹介されている食事の画像を見ると期待感が低いのですが、実際に提供された食事を目にすると、その評価は全く変わります。そういう意味では、PRで損をしているように思います。
それは、子どもの食事についても同様でした。
案内をしてくれたスタッフからは、飲み物と焼物(魚)の希望を聞かれます。
焼物は2種類あったので、ここは迷わず一つずつ選択。
シェアすれば両方楽しめますからね。
席からは外の景色も楽しめるのですが、この日の天気では・・・。
でも、夕暮れ時が遅い夏に天気にも恵まれれば、この夕食はより一層思い出深いものになるに違いありません。
この後からも、いくつかの料理が運ばれてきます。
冷鉢 冷やし煮物
岩魚塩焼き
銀鱈山路焼き 酢取り生姜
ご飯も、五目ご飯か地元産の「仙人米」と名付けられたあきたこまちのどちらかを選ぶことが出来ます。
米そのものの味を知りたかったので、仙人米をリクエストしましたが、美味しいご飯でした。
お椀は、鴨つみれ汁
最後はデザート。
ブルーベリーアイスと杏仁プリン
ブルーベリーアイスの甘酸っぱさが良かったですね。良いシメになりました。
最後まで美味しくいただきました。
部屋に戻ると布団が敷かれていました。
少し休んでから、夜の露天へと向かいます。
天気が良ければ、満天の星空を楽しめるのでしょうが、あいにくの天気。
しかし、天気が悪い中でも夜の露天は十分楽しめました。
真っ暗闇の前方に、風で舞い上がった湯煙がスクリーンのように広がります。
背後から照らされているライトによって、そのスクリーンに自分の入浴シルエットが映しだされると、まるで影絵を見ているかのようでした。
風が強かったからこそ出会えた光景だったのでしょうか・・・。こんな経験は初めてでした。
滞在中の天気は悪く、時折窓ガラスに叩きつけるような激しい雨も降りました。
その上深夜には、雷の稲光がフラッシュのように幾度となく光っていました。
翌朝、カーテンの隙間から射し込む外の明るさに、思わず天気の回復を期待したのですが、カーテンを開けると願い空しく真っ白な世界。
上が前日。下が翌朝。ほぼ同じアングルで撮影。
浴室清掃のため午前8時~9時は入浴が出来ませんので、そんな状況でも朝風呂へ。
一面真っ白な世界。しかも暴風に近い風も吹いている中で。
朝食は昨夜と同じ会場で。
午前7時から利用できますが、席は異なりました。
残念ながら前日同様の空模様のため景色は楽しめません。
朝食は、一部バイキング形式です。
席に着いてしばらくすると、ご飯、味噌汁そして焼き魚が運ばれてきます。
デザートとしてヨーグルトとフルーツが。
コーヒーはセルフサービスですが、用意されています。
温泉を堪能するなら、浴室清掃後の午前9時からの入浴を目指すのでしょうが、この後のスケジュールの都合で断念しました。
宿を出る時も、まだ白い世界。しかも肌寒いくらいの気温。
「これはこれで、貴重な体験だよ。」と家族に話しながら宿を後に。
いつかは、絶景を・・・でも次は、いつになるやら。
(2017年8月下旬 平日泊)
◆栗駒山荘HP
こちらのお宿、夏と秋に設定されている特定期間の宿泊予約は、毎年3月の1ヶ月間、ハガキによる申し込み期間が設定されています。その後、5月頃から電話での受付となりますのでご注意を。特定期間以外は、もちろん電話予約可能です。
この栗駒山荘での宿泊を含む夏の旅行記を自身のブログでも紹介しています。
こちらをクリック→ 半兵衛の萬日記 (2017夏の旅行ダイジェスト版)
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