岐阜 奥飛騨・福地温泉 草円
お部屋 草庵

 

 

二人の誕生日の旅は今年も草円。誕生日とはいっても一方は11月で一方は1月。その間をとって12月に予約をし、予約のコメント欄には「誕生日の旅行で す」と書いた。ちょっと無理があるが、それは祝いの一品(デザート)せしめたかったからというから、我ながらセコイものだ。

 

低い入り口をすこしかがむようにはいる。そこはしっかりかためられれた三和土(たたき)になっていて、古民家のほの灯りのなかに”ぬくい”空気が漂っ ている。

 

チェックインを済ませて、囲炉裏端でお茶を一服。茶菓子がきな粉餅ってのが珍しいですね。

実はこのときワレワレはかなり焦っていた。

福地温泉はもらい湯という制度があって、泊り客は他の宿の風呂に一軒だけ入りにいくことができる。もらい湯ができるのは15:00から16:00の間と、18:00から21:00。

2回目の時間帯は夕食の時間とかち合う。夕食はのんびり食べるほうだし、がっつり食べる派なのでそのあと動けなくなってることが多いので必然的に15:00からの時間帯に狙いを定めたくなる。

ただ草円のチェックインは15:00なのでチェックインと同時に宿へ入る必要がある。

囲炉裏のそばでお茶を頂きながら、宿の方が館内の説明をしてくれていたのだが、その時間にももらい湯の時間が刻々とと削られてると思うと気が気ではなかった。

 

 

部屋は小上がりに布団敷きっぱなしの私好みのスタイル。

もらい湯のためには浴衣着替えることが相手先の宿への目印になるのであわてて着替える。

この時期は当たり前のように雪景色なので、ちゃんとあったかい長靴が部屋に用意されている。

孫九郎へ急いだ。

 

 

もらい湯から戻って改めて茶菓子をいただきました

ここのお茶菓子はおちょっと変わってるのです。しかも旨い。

あけてみると上段から塩昆布、大学 芋、なつめ。
なつめを連れは知ってた。木の実だそうで、子供の頃近所のあちこちに成っていたと言う。

もちろん他所様の庭の木なのだが、子供は自由に食べていいと言う

暗黙のルール

があったそうだ

 

 

夕食は、囲炉裏の食事処で。

食事を運ぶスタッフの邪魔になりながら、写真を撮ってます。
写真を撮ってる私に気づいて、

「あっ、すいません!」

と言って、軽やかなステップバックを披露したのでした。
いえいえ、こちらこそ邪魔してすいません。

 

ここも昔話に出てきそうな風情があります。

各組ごとに囲炉裏の配置された座敷と、個室のベンチシートスタイルの2種類がある様子だが、希望を聞かれたことが無いので宿側での采配になる様子。

ちなみに私たちは2回とも個室だった。座敷は掘りごたつではなかった気がするので、膝に自信のない場合は個室席のリクエストをしたほうが良いかもしれません。リクエストが通るかどうかは不明ですが・・・。

 

連れは迷わず生ビール。

自分は梅酒をロックで。
自家製の梅をでつくるそうです。

 

 

 

囲炉裏をはさんでの夕餉。前菜における鴨肉の味噌漬け、湯葉の包み焼きの旨かったこと。そして中央をくり貫いた柚子にグラタンの具材のようなものが入 り、どうするのかと思いきや、これをそのまま囲炉裏の網の上で炭焼きにするのです。

こんなの初めてで驚いた。

 

ふたりとも大絶賛だったのが、お吸い物の大根包み真丈。山の宿なのに京料理風のやさしい出汁。

造りはすりおろした山芋を敷いて、岩魚を重ねて酢橘醤油がかかる。間にはヤーコンという芋がはさんである。
生魚が苦手な連れが珍しく「これおいしい。」と言っていた。

鍋がぐつぐつしてくるまで、芋の五平餅をぱくつく。
大根菜味噌炒めを薬味にいただいた。

鮭の粕鍋。器をそのまま直火にかけるので驚いた。これもまた旨くて、ふたりで最後の一滴まで飲み干した。

 

通常はここで飛騨牛の網焼きなのだが、今回は「飛騨牛の朴葉焼きプラン」なのでそれにスイッチしている。もちろんとても旨かった。旨かったのだが食事 の後半戦と言うことで、4切れ目以降は結構無理無理食べることに・・・30代ならガツガツいけただろうに。

草円では本物の竈で炊いたご飯がいただける。おこげもちゃんとあります。

まだ残っているので、3段のミルフィーユにしてみる。
こんど食べるときはスタンダードに網焼きがいいな。

デザートはオレンジゼリーとラフランス。
案の定、食後は満腹すぎて動けなくなりました。

 

満腹状態の我々も部屋でごろごろしていたら、やっと身動きがとれるようになり風呂へ向かうことにした。
向かうは川原の露天風呂。
川原近くの露天風呂は建物からすこし離れたところに建っているので、完全防寒ででかけます。防寒の上着と防寒靴は部屋に用意されているので安心です。

川沿いに外歩くこと30秒ほどで到着。

 

脱衣所からお湯に浸かるまでは、裸で極寒体験。

覚悟を決め

えいやー

と気合を入れて湯船へ飛び込む。

きたきたきたきた、じゅわ~

 

程なくして女湯のほうから

「ぬるい~、もうあがる。」

と白旗気味の声が聞こえてきたので退散することにした。

 

翌朝はけっこう早起きして、貸切風呂で朝風呂としゃれ込む。

ここは宿から一旦外に出て、30秒ほど歩いたところに別棟となっていて、内湯+露天のセットが3箇所ある。
みんな寒くて一度外に出るのを嫌ってか、やたらと空いている。ってか、僕らだけしか来ていない。

入り口に一番近い貸切風呂に入る。

貸切なのに脱衣所も広々

浴室が若干冷えるのが難点といえば難点。
内湯から戸を開けると露天風呂です。

ふつうは1箇所入ればいいってもんでしょうが、せっかく空いているから、貸切風呂を3箇所制覇しようということになった。

根が貧乏性なのです。

こちらが真ん中の風呂

その露天風呂

最後が一番奥の風呂

露天に出て景色を楽しんでやろうかと思い湯舟につかったらおかしなものが視界に入ってきた。

 

飛騨の朝食で定番の朴葉みそ。

 

二人の誕生日の旅は今年も草円。
誕生日とはいっても一方は11月で一方は1月。その間をとって12月に予約をし、予約のコメント欄には「誕生日の旅行で す」と書いた。ちょっと無理があるが、それは祝いの一品(デザート)せしめたかったからというから、我ながらセコイものだ。

福地温泉といえば長座が古民家の宿の世界を切り開き、それに続くようにかつら木の郷やひだ路などが登場。福地温泉自体が昔話の里のような雰囲気だ。草円は それらの中では一番新しい。 低い入り口をすこしかがむようにはいる。そこはしっかりかためられれた三和土(たたき)になっていて、古民家のほの灯りのなかに”ぬくい”空気が漂ってい る。一番新しいとは言えども母屋のあたりは古民家の風情は十分に宿している。
12月の平日だというのにお客さんは次から次へとチェックインしてくる。結構 人気らしい。しかもみんなチェックイン時間を待っていたかのようにチェックインしてくるので皆さん宿好きなのだろう。囲炉裏の端に腰を下ろす。到着のお茶 菓子はきな粉餅というのが変わっている。それを頂いてから、渡り廊下を何度か曲がりながら部屋へ案内された。部屋は小上がりに布団敷きっぱなしの私好みの スタイル。こたつのある居間はかなり狭いがそれで特に不都合は無く、二人ならば意外にちょうどいい空間に感じた。

夕食はこちらも古民家的な設えの半個室。囲炉裏を挟んで向かい合う。バリエーション豊かに山の味を楽しませてくれる。同じ時期に食べ比べたわけではないの で比べられるわけでもないが、長座よりは満足度が高く、もしかしたらかつら木の郷と並ぶか、それ以上かもしれない。前菜における鴨肉の味噌漬け、湯葉の包 み焼きの旨かったこと。そして中央をくり貫いた柚子にグラタンの具材のようなものが入り、どうするのかと思いきや、これをそのまま囲炉裏の網の上で炭焼き にするのです。こんなの初めてで驚いた。囲炉裏の料理って、下手をすると雑な田舎料理になりがちなんですよね。でも、草円はさすがというか、鄙ななかに上 質さをとどめているところがエライ。
ふたりとも大絶賛だったのが、お吸い物の大根包み真丈。山の宿なのに京料理風のやさしい出汁。そして真丈のふわっふわ な食感が存外楽しかった。
食事の時間を気分よく過ごせた功労者はこの料理だけではない。料理を運んできてくれた女性スタッフ。実は1年前と一緒の方だ。そ れとなくさりげなく会話を盛り上げて、また次の料理を取りにいく。その小気味のいいこと。

なにしろ、お風呂が入りきれないほどある。前日にはもらい湯と内湯、露天風呂、川原の湯を制覇して翌朝は貸切風呂を3箇所を回ろうと意気込んだ。この貸切 風呂は3箇所あるが、それぞれが内湯と露天風呂がセットになっているという充実ぶり。湯上りも広々スペースがあり囲炉裏の火が入っている。仮に貸切風呂が 満室でもここでのんびり待てるようにとの狙いもあるだろう。ところがこの日はいつでも待たずには入れた。それをいいことに全部回った。その満足感につつま れ朝風呂の縁に二人で寝転ぶ姿、それは2頭のトドのようであったはずだ。

 

 

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