霧島温泉郷 ふたり静

鹿児島県 霧島温泉郷
宿泊日 2006年5月
お部屋 鳥の音

 

 

 

駐車場に車を止めると、気配を察したのかスタッフが駆け寄ってきた。荷物をもってもらいながら、木々のアーチの石段を上っていくと、そこが帳場の母屋。土間。本日の宿は、鳥遊ぶ森に5つの離れが点在する、2006年5月にオープンしたばかりの宿だ。

 

 

 

部屋に案内されて、あくまきという鹿児島のちまきの様なものでもてなしを受ける。黒蜜のかかるさっぱりとした甘さと美味しいお茶が疲れた体をリフレッシュさせる。

 

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時代のありそうな戸板や箪笥で古民家風に設えられた離れは、宿というよりも別荘気分。何しろ居間、ベッドルームに十分な広さの縁側、お風呂は内湯にサウナに水風呂、飛び石をつたった先にはさらに露天風呂という贅沢さ。チェックインのときから天然の湯が掛け流しされている。

 

茶香炉から漂う穏やかな香りに包まれた離れは、日が落ちるにつれて不思議な色香が増してくる。ちゃぶ台、はだか電球、えんがわ・・・。古民家風といえば、農家風が思い浮かぶものだが、どことなく、明治から昭和初期のテイストを感じていました。

 

目にも麗しい前菜。いきなりフレンチのように仕掛けてくる。糖度たっぷりのフルーツのような長崎県産の緑健トマトでヅワイガニをファルシー(詰め物)に。かすかに流れるにんにくの風味が風味をより複雑にして、一口目からもう心を奪われている

 

上質な牛肉に甘みのしょう油。とろろ芋によって不思議なまろやかさが加わり、肉の新たな一面を発見。さらには特産、黒豚のしゃぶしゃぶ。つけだれがとっても旨い!りんごで甘みを出しピーマンで香りをつけているところまでは教えてくれたがその先は「まぁ、いろいろと」と笑顔でにげられた。

 

 

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チーズ豆腐和風ゼリーは、クリーミーなモッツァレラのようにもちもちっとした食感。ゼリーにどんな不思議を仕掛けたのか、鼻にぬける後味が不思議なやわらかさ。はるばる富山県から取り寄せる氷見うどんは、出汁の具合がダイレクトに見れる一品。なめたけに梅が絡めてありさわやかな美味。

 

 

料理を堪能し終えて、内湯へ。風呂場からベッドルーム、その先のテラスまで見通せるつくりで、開放感がある。戸を開け放っておくと木々の空気が入ってきてさわやかだ。入浴中なぜか故郷に来ているような安心感に包まれていた。

 

朝からとっても満足度高いです。特に棒たらと思われる焼き魚と湯豆腐に入っているは地鶏の肉団子が絶品。豚汁は見た目は田舎風だけども、なんとも上品な味。鹿児島といえばこれというさつま揚げも入っています。

 

この離れを特徴付けるのが味噌樽の露天風呂。明治の刻印が入っていたそうです。野鳥の声を聞きながらの朝風呂は極楽です。

 

 

 鳥遊ぶ静かな環境を求め、温泉街からだいぶ離れたところ、木々に隠されるように5つの離れが佇む。広い敷地の高台に上ると、隠れ家のような雰囲気とは対照的に霧島連山の雄大な眺望がどーんと展開される。オープンして間もなく訪れたので、庭の木々などまだなじんでない部分はあるのが、鳥たちが木々の間を抜けるのが時折みえたりするので、これからの成長が楽しみ。古民家を模した宿はいくつもあるが、ふたり静の場合、戸板、ガラス戸、障子戸など古いものが、どこから見つけてきたんだろうと思うほどある。お風呂に使われている味噌樽は大正時代の刻印が入ってたそうで、どことなく大正から昭和初期という時代が見えてくる。ひろーい離れは、宿というよりも別荘気分。チェックイン時にお茶を出してくれる以外はこちらから呼ばない限りスタッフが来ることはない。もう自分の家にいるような気分で過していいのだ。私もだいぶ人様にはお見せできないような、くつろぎモードで部屋から内湯、露天、サウナを自由に行き来して楽しみました。この宿の肝はやはり料理ということになるのでしょう。まず前菜の彩りに心沸き立ち、これなんだろう?とソースに隠された味にいう驚き・・・。その料理を生み出し自ら調理するのが、橋本氏。湯布院での料理長時代から既にその冴えには定評があり、根強いファンがいたのでした。「ふたり静」という宿ができると言うことを知ったのも、そのファンの一人である友人から。「テレビとかで流れちゃうと予約できなくなっちゃうから」の言葉で、鹿児島へ急いだのでした。九州には人気の宿がいくつかあるが、「料理」で客を呼べる宿は実はかなり少ないらしい。たとえば、土地の素材をあまり手間を掛けずに出す料理を「田舎料理風」という演出で出すが、“演出”の部分を取り除いたとき、残ったもので舌の肥えた客を満足させられる宿がどれほどあろうか。そんな中、宿の設えから料理にいたるまで最高峰を目指したこの宿は九州を代表するオーベルジュになることでしょう。帰りに敷地に実っていた梅の実で、梅酒を漬けてきました。半年後が飲み頃なので、またその頃に私の触手は九州を向いていることでしょう。

 

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