北新館に泊まってきたときのお話をします。新潟・寺泊温泉にある温泉宿です。
新潟 寺泊温泉 北新館に泊まってきたときのお話をします。
北新館は2つの源泉をもつのどかな一軒宿。
一つの宿で種類のぜんぜん違う源泉をふたつ保有しているというのは全国的に見ても珍しいのではないでしょうか。
寺泊の市場通り
寺泊と言えば通称「魚のアメ横」と呼ばれる市場通りですね。
鮮魚店や土産物店など約10店舗が並んでいます。
しかしですね、市場通りにはしばらく興味を失っていたんです。
魚はたくさん並んでいるけど地物が少ないな~という印象で。
なので今回は「寄らんでいいかな~」くらいの気持ちできたんですが、行ってみると地物の割合が多い気がしました。季節的なことなのでしょうか。もしかしたら武漢ウィルスの影響でお客さんが減って、他所から魚を持ってこなくても足りるようになっているのかもしれません。
帆立をバター醤油で食べさせてくれるらしい。
あら汁200円は安い。
そしてこういう結果になりました。
部屋
手前の主室が10畳で、この右の戸を開けると部屋の半露天風呂。そして寝室です。
布団が敷いてあるのですぐにゴロンとできてありがたい。
お部屋を物色していると、スタッフの方がお茶を入れに来てくださったのですが、そのお盆には・・・
「近くの農家さんからいちごを頂いたので・・・、女将の手作りなんです。」
このサプライズに心も体もすっかりリフレッシュした気分です。
女将さんは料理もつくるので普段はずっと調理場にいて、なかなかお客さんの前に出られないからこうやってお客さんとコミュニケーションしてるんですね。
大浴場
いまはこちらが男湯。
戸を開けると、ミストサウナばりに高い湿度とともに独特な匂いが漏れてきました。温泉マニアたちが”アブラ臭”として珍重する石油やタールみたいな匂いです。
泉質も色も匂いもぜんぜん違う源泉は、強食塩泉と炭酸水素塩泉。どちらも源泉温度は低めだ
①強食塩泉
アブラ臭を発しているお湯はおそらくこちら。強食塩泉というだけあって舐めてみるとしょっぱい。入浴してみると軽くピリピリする感触で、目がしばしばしてきて、喉はむせるよな感じがあります。湯温は低いのですが、風呂上りの火照りがすごいです。
源泉温度が低めなので、ボイラーで温めたいところなのでしょうが、成分が強力すぎて機械をことごとくぶっ壊してしまう暴君らしく、加温は熱いお湯をいれることしかできないようです。
もともと成分が強力なので薄めるくらいでちょうどよいかも。
②炭酸水素塩泉
その隣が炭酸水素塩泉。もともと、とはいってもほんの数年前まで、こちらは硫黄泉だったのです。地殻変動で泉質が変わったそうだ。
いぜんも硫黄がプンプン匂ってたわけではないので、正直ぼくにはお湯の違いは分かりませんでした。
こちらも源泉温度は低いのですが、ボイラーで加温しているのでお湯は源泉のまま薄まていません。
③廊下
3時までは日帰りの入浴客を受け入れていて、3時以降は宿泊専用となります。先程お見せした「のどか」のお部屋だけを見ると、ここはおこもり系の高級旅館に思えてくるが、もともとは湯治場ですし、いまでも近隣の方々がお湯を楽しみに来る普段着な場所でもあります。
源泉タンク
敷地内にある源泉のタンクを見に行ってみましょう。
源泉が二つなのでタンクも二つ。訂正です。タンクはどちらも強食塩泉のものでした。
①強食塩泉
右手に見えている錆の強い方が強食塩泉のようです。
この山の地下1,000m程から、ガスと共に自噴しているそうです。
②炭酸水素塩泉
もうひとつ炭酸水素塩泉のほうは宿の裏手、地下約2mから湧出しているそうです。
部屋の半露天風呂
部屋の半露天風呂に入ります。
総ヒノキ造りのお風呂です。
お湯は炭酸水素塩泉。透明に近い方のお湯です。
僕がお部屋を撮ってるときに連れはこの半露天風呂を覗いて一人できゃっきゃ言いながらテンション爆上げしてました。
北新館には部屋に半露天風呂備わる上級グレードのお部屋は3室ありますが、温泉が引かれているのはこの「のどか」だけ。
ぼくらも一番のお気に入りのお部屋です。
夕餉
夕餉の時間となりました。
お食事はこんな立派な個室で頂きます。
過去何度か泊めていただいた経験からしますと、半露天風呂付の3部屋がこのタイプの食事処に通され、一般客室の場合はもうちょいカジュアルな食事処になるようです。
悲しいお知らせです
カメラのホワイトバランスを設定し忘れました。安定のポンコツぶりを発揮です。
- 食前酒は発酵ざくろ酢
- 前菜 少ない盛り付けをたくさん、女性に好まれる
自家製スモークチーズ 生ハム、フランスパンと一緒にミルフィーユ状に
柳鰈の唐揚げ
地鶏のマリネ
ソラマメと海老のマスタード和え - たこしゃぶ この宿の定番です。
ワカメがさぁっ緑色に
これはなんの魚だろう?金頭(カナガシラ)という魚のようです
吸盤
たこしゃぶはこの宿の定番料理で、初めて泊まりに来たもう10年くらい前からあります。なんかわからんけど「昆布じめ?」って思うくらい旨味が濃いです - ノドグロ
人生で初めてノドグロを食したのがここ北新館。こんなうまい魚があるのかと半べそになりましたが、また出会えました。薄皮まんじゅうみたいに儚い皮のその塩気とともに、ジューシーな身を口の中に入れますともう脂分なのかよだれなのか分からないもので、口の中は大変なことになっております。 - お造り 漁師町ならこの新鮮な魚は絶対ですね。妻がめちゃ細くて美しい
めばる
鯛
アジ
甘海老 - 下戸はこれ ル・レクチェでつくる100%ジュース
- ステーキ 黒毛和牛
- 鮑
- お吸い物
- ごはん
ごはんは「寺泊年友コシヒカリ」とあります。年友とはこの宿のある地域をいうのでもうホントにご近所さんでつくっているお米ということになりましょう。そこに佐渡の長藻という海藻をぶっかけます。 - デザートは自家製のプリン
夜のお部屋の半露天風呂
連れは何度でも温泉に入りたいくせに、人見知り上級者なので大浴場に人がいるとテンションダダ下がりになります。なので部屋に温泉があるのは最高というわけです
おやすみなさい
朝食
おはようございます。夕食と同じ個室で朝食を頂いてます。
朝から驚きです。この一見して分かる手間のかかり具合。
朝の大浴場
もう一か所貸切風呂がありますよ。
こちらは予約制の貸切露天風呂です。
半露天風呂で、もちろん源泉にこだわっているようです。
鳥たちも居心地のいい場所
「寺泊になかなか面白い宿があるよ。」
と聞いて、はじめて北新館を訪れたのは2009年ですからもう13年まえです。
当時は部屋に露天風呂ついてる、なんて言うのがまだまだ珍しい時代でした。
それで泊りに来てみると、2種類の源泉や半露天風呂付のお部屋はもちろんのこと、「料理旨いな~」という印象を持ち帰ったのです。
小さい宿。女将さんが自分で料理をつくる宿。
漁師町ならば、海の幸を船盛にした豪快料理の宿ならいくらでも見つかるでしょう。でも北新館の料理は、巷の漁師町料理とは違う気がします。寺泊の魚を大切にするのはもちろんのこと、お造りに全体重が乗ってるんじゃなくて、前菜からデザートまで丁寧に料理されている印象です。たぶんほとんど手づくりしてるんじゃなあいかなぁ、と感じるほっこり料理。
娘さんに言わせると
「もう料理が趣味なんです」
とのことですから。
女将さんは普段はずっと調理場にいて、なかなかお客さんの前に出られないからこうやってお客さんとコミュニケーションしてるんですね。
色も泉質もちがう二種の源泉が楽しめて、手作り料理が美味しくて、宿の皆さんもみな優しい。全国的に有名なわけではないけど、大好きなお宿。日帰りも受け入れてることからも分かるように、いわゆる上質を売りにしたおこもり系の宿ではありません。その気安さが自然体で過ごせる理由なのかもしれません。
チェックアウトの前に縁側に出ると、相変わらず野鳥がいい声で鳴いています。
鳥たちも居心地のいい場所がわかるのでしょう。
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