岐阜の名湯、下呂温泉「湯之島館」の宿泊レポです。
開業は昭和6年(国鉄高山本線開通と同年)。
当時の温泉旅館としては画期的な半木造・半鉄筋造りで、クラブやビリヤード場などを備えたリゾートホテル的感覚の施設として企画され、総工費は当時で100万円(大卒初任給が70円の時代)という巨額が投じられました。
昭和天皇・今上天皇も賜御宿泊されたという由緒ある宿です。
宿は下呂温泉の鎮守・温泉神社に隣接する、温泉街を見下ろす山上に位置し、五万坪の敷地に山の斜面に沿って四棟が立ち並ぶ造りで全67室。
荘厳な玄関も創業当時のままです。
複雑な構造の廊下や二本のエレベーターを利用して館内を移動します。
今回の部屋は本館二階「鹿(か)の子」、登録有形文化財。
本間8畳、控えの間5畳、周り広縁4畳で広縁からは庭園と飛騨の山々が俯瞰されます。
周囲は喧噪もなく、たまに響いてくるJR高山線の列車音が郷愁を誘います。
風呂は男女別に内湯・露天風呂があり、深夜二時から一時間清掃して男女入れ替えになります。
いずれも下呂温泉街を見下ろすゆったりとした造り。
泉質はアルカリ性単純泉55度、pH8.9、加水加温なし、循環放流併用。
他に貸切風呂が四つありますが、残念ながらコロナ禍で使用中止していました
*浴場の撮影禁止につき、HPより拝借しました。
入浴後は館内を散策。
娯楽棟「洋館」にはダンスホールを持つ「クラブムーンライト」(コロナ期間で休業中)「ビリヤード室」「卓球場」「山の足湯」などがあります。
続いて庭園を散策する頃には部屋々々に明かりがともり、夕食時間になりました。
部屋に運ばれてくる夕食は、「初秋を味わう会席」と称された郷土色豊かなコース。
ただ造りが海産物だったのは残念ですが、季節感あふれる飛騨の料理はこの時期特に美味。
地酒「天涼」も進み、デザートまでたっぷり二時間かけていただきました。
朝食は新館「景山荘」八階の食事会場で頂きます。
コロナ時期で平日にもかかわらず20組近くが宿泊してるのは流石。
飛騨らしく秋鮭朴葉味噌焼き、豚の角煮など夕食に比して素朴ながら好ましい献立でした。
スタッフの教育も行き届き、施設・温泉・食事も文句なし。
遥かなる昭和初期を思いながら過ごす素晴らしい一泊でした。
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One Comment
shunさん、湯之島館のレポありがとうございます!
湯之島館はあの印象的な玄関は写真で何度か見ていたのですが、内部をいろいろ見れて嬉しいです。
吹き抜けになっている写真はロビーでしょうか。赤絨毯の囲炉裏のスペースや、タイル張りの卓球場などはレトロな味わいが素敵ですね。ちょっとタイムスリップした気分で泊まれそうです。
下呂は人で賑わっている印象ですが、湯之島館まで上がってくると庭園に囲まれた静かなところなんだろうな~という印象を受けました。
ありがとうございます~!