箱根湯本温泉 養生館はるのひかり (1/2)

その道は細く、車がすれ違うときはどちらもスピードを落とす必要がある。どことなく宿場町の匂い。

そこからちらっと見える茅葺屋根が目指す宿だ。

 

 

茅葺の母屋の空気を吸うと、ぐいぐいとこの世界に引き込まれる。

最近では古民家を模した内装というのもあるが、時の降り積もったものが放つ本物の匂いにはかなわない。

ここで館内の説明を受けたり、夕食の時間を打ち合わせる。

 

母屋の茶室

 

手斧(ちょうな)でなぐった素晴らしい縁側

こんな手仕事が愛おしく思えるなんて、老いるってのも悪くない。

 

釘を使わないつくりなのでしょう。

柱、梁、桁を臍(ほぞ)で組んであるらしい。

こりゃブルーノ・タウトも大喜びするだろうな。

 

 

 

館内を歩くと

「増築、増築って繰り返したんやろな~」

と感じる。
建物は山の斜面に沿って建斜面づたいに階段がのぼり、そのところどころから横道が伸び棟棟をつないでいる。

 

ひと昔前風の廊下から、部屋へ。

 

予約したのは「村雨」という一人専用タイプの部屋。

 

おぉ、洒落てる!
部屋の中はスタイリッシュにリニューアルされていて、かなり気に入りました。
暖色系の照明が落ち着く。ベッドはセミダブルでゆったり。

ここに一人で宿泊だなんて贅沢だな。
もうビジネスホテルには泊まれない身体になってしまうかもしれない。

 

なにより嬉しいのは塗装を施してない、すっぴんな木肌の床がメチャ気持ちいい!
スリッパは用意されてるんですが、素足で歩いても良いのかな?

 

部屋のテラス。
訪れたときは、箱根でも雪が降るほどの寒さだったが、暖かいときはここで過ごすのもいいだろうな。ただし、ちょうど見えている竹林の向こう側には旧東海道が走っているので、車の音が無いわけではない。

 

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浴槽は3つあり、熱いのとぬるいのとその中間くらい。隔てる壁の下のほうに小さなトンネルがあって湯温の高いほうから湯が流れてくる。

源泉掛け流しだそうだが、吐湯口が見当たらない。空気に触れさせないように湯を注入してるようだ。オーバーフローの溢れる湯の音だけが静かな風呂場を満たす。洞窟のような気分。
pHは8.2。海水と同じほどだ。源泉温度は54℃なので加温加水無しで投入量の調節だけで適温を保てるのだろう。

 

脱衣所。長湯したい人のために防水の本もいくつか置いてある。

風呂上りに読書室へ寄ってみた。めちゃめちゃ洒落てます。

コーヒーを自由に飲めるようになってるはずです(忘れてて飲みそびれた)。

 

石井さんの真似をして、「温泉宿で原稿を書く」という文豪気分に浸るのが今回の旅のテーマではあるんですが、さりとて書かなきゃならない原稿があるわけでもなく、思う存分本を読めるというわけだ。

 

本に熱中していて、気がついたら外の明るさがすっかりかわっていた。

冬場は急激に暗くなるらしい。

 

夕食前にもう一度母屋へ行ってみる。

あ~、この漆黒の床は石亭の敷き瓦を思い出すな。
この情景が長くぼくを引き止める。

 

食事処は母屋のとなり、この写真の正面に写ってる建物だ。

 

中に入るとまず立派な梁に目を奪われます。

古民家というと新潟や長野が思い浮かぶけど、これは伊豆のあたりに建っていたものって言ってたかな(←かなりうる覚え)

 

内部はがらっと印象が変わり、和モダンの雰囲気。

 

畑のごちそう温野菜

野菜は無農薬で、露天の耕地で作物を栽培する露地栽培もの。ほとんどが県内産で、さらにほうれん草、ターサイ、大根は箱根湯本産だという。

自家製の豆乳胡麻ソースでいただく。

 

自家製の黒胡麻豆腐

 

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温者は湯本大根の風呂吹き

大根は箱根湯本産、豆腐は小田原の風間豆腐店より仕入れてる。

 

大根おろし餅のあられ揚げ

餡かけになっててめちゃめちゃ好みの味

 

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玄米ご飯

玄米は小田原産の きぬひかりという品種だそうだ。
たかいおばあちゃんが無農薬で自然栽培しているという。

 

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味噌汁は自家製の2年味噌でつくっている。

豆乳寒天 りんごの蜜煮添え

 

食後に再びお風呂へ。

湯は無色透明。成分表にも無臭となっているが何かの匂いを感じる。
このお湯は湯上りを楽しみにしていてください。
まずひとつは湯上り後に体がポカポカあたたまったこと。硫酸イオンにより血管を拡張して、血液の流れをよくするからでしょうか。もうひとつは肌がすべすべになったこと。

ほの暗い浴槽は、心地よく意識を眠りへと誘う。

 

おやすみなさい

 

 

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