松宝苑 宿泊レポ 後編 宿泊レポ ブログタイプ
時間となり食事処へ行くと、そこは天井の高いちょっとした広間で真ん中に囲炉裏が燃えている。
温泉を床の下に通した床暖房が効いていて、寒いどころかむしろポカポカ温かい。
一番乗りのようだ。
見よこの飛騨牛!!ひとり5切れね。
炭で焼いてくれたらもっと良かったかな
お造り
焼けるのを待ちながら、他のやつをいただく。造りはオオマス(赤)、オオイワナ、川フグ(なまず)生麩、湯葉。
薄色の刺身醤油がうまい具合に刺身を引き立てて印象的だった。
近くのスーパーで売ってるらしい
料理はご主人が手作りしているそうだ。
山の素朴な食材がひとくちづつ、いろいろ味に変化して楽しませてくれる。
どれもこれも旨かった!
焼けてきたら戦闘態勢。
朴葉が敷いてあって味噌をつけて食べる。つまり変則「朴葉味噌」状態なのだ。
この味噌旨かった。
比較して済まないが、飛騨牛の肉質で言えば八ツ三館で食べるそれには及ばない。でもこの料金でこの量という意味ではもちろん満足だ。
ムービーまで撮ってたら焼きすぎた。
河ふぐのから揚げ
河ふぐとは何かというと、ナマズなのだ。飛騨地方の呼び方。
ナマズときくとぎょっとするが、淡白でなかなか旨いもんだ。
衝立の向こうのマック
囲炉裏付のテーブル席は衝立で仕切られていて、しばらくしてぼくらの衝立の向こうに一人、こちらに背を向けて座った。欧米人風の若い女性だった。
その向こうのテーブルには韓国語おぼしき言葉を操る4~5人のファミリー。
ぼくらはこのとき、本日の宿泊客の中で日本人は自分ら2人であることを知ったのだ。
ぼくらは日本代表なのか。
なぜか、そんな気が芽生えた。
彼らはなぜ日本に来た?それはもちろん日本の文化に触れたいからに他ならないからではないか。そしてこの空間に、日本の文化を彼らに伝えられるのはぼくらしかいない。
その欧米人風の女性は、マックというらしい。連れがテーブルの上の案内にそんな文字を見たらしいのだ。遅れて連れ合いでも来るのだろうと思っていたが、マックは食事を始めた。
ゴマ豆腐だったかな?ねっとりとした食感
ローストビーフ
「ローストビーフといえば中尾平か里山十帖だよね」としゃべりながら・・・
岩魚の塩焼き
川魚大好きな連れは頭を残して骨もヒレも食べつくした。
「幸せのひと時だった」
と貫禄のお言葉・・・
茶碗蒸し
新種のコップのフチ子さん?崖っプチ太郎?
「マックは一人旅なのか?」
「どうしよう」
もしぼくらが陽気なカリビアンだったなら、
「やぁ、元気?」「ひとりかい?」「日本はどうだい?」
と言葉を繰り出すに違いない。
しかし僕らは日本人だ。
衝立のむこうに声をかけるような習慣がない。
動かざること、山の如し
だ。
日本人の中でもさらに人見知りなほうだときてるから始末がわるい。
こういう古民家の宿で昭和な日本人とちょっとでも話したならば、それはマックにとってきっと思い出深い体験になるにちがいないのに。
料理は1の膳、2の膳、3の膳に分かれてると聞いていたのでまとめて持ってくるのかと思ったが、
わりかし出来立てをこまめに持ってきてくれた。
連れは満腹でギブアップ。
「この山菜好きな味付け好きなんにぃ」
と地団太
デザート
フルーツがポンと置かれるくらいかなと思ってたが、ちゃんと手の込んだもの。
結局、衝立の向こうのマックには話しかけることができずに食事を終えてしまった。
席を立つときマックがチラッとこちらを見た気がした。
寝る前にふたたび風呂へ
静まりかえった湯の小屋に、湯の落ちる音だけが響く。
このときも貸切状態で満喫しきった。オフシーズンの平日はやはりいい。
朝食も囲炉裏の食事処で。ゴマ豆腐、飛騨ならばこその明宝ハムは昔なつかしい味。
翌朝もおなじシチュエーションでの朝食だ。
衝立の向こうにはマックがいる。
そしてやっぱり朴葉みそ!
マックは一度こちらに振り向いた気がした。
連れもそう感じたようだ。それは
「話しかけろ」
というサインではないのか??
・・・
済まない、マック。ぼくらポンコツ過ぎだ。
↑ムービーもどうぞ
驚きのコストパフォーマンス
すばらしいコストパフォーマンスだった。
僕らの利用したプランは飛騨牛の付くプラン。
冬場だけだろうと想像するが、このプランがスタンダードなものと料金が同一なのだ。つまり迷わずこのプランを選択することになる。正確な金額は忘れてしまったが囲炉裏付の部屋で一人、15,000円くらいだったかな。一般客室となると12,000円だ!正直この値段には驚いた。
120年の時をへた合掌造りを移築した母屋は洒落た古民家の風を味あわせてくれるし、重厚感のある木のお風呂はとても好みだ。料理も充分に満足いくものだった。
褒めてばっかりでもなんなので別の視点から、近くの福地温泉の古民家の宿と比べてどうなのか?
かつら木の郷や草円に泊まったときとの違いを感じていて、それはなんだろうと考えていてチェックアウトのときにそれが分かった気がする。
かつら木の郷、草円などが玄関を入った瞬間に囲炉裏の煙が放つ「匂い」がぐいぐいとあっちの世界に引きずり込まれるが、松宝苑にそれはない。おそらくはそのことが「古民家に泊まった」感の薄さにつながってると感じた。ただそれが物足りなさだとは思わない。宿それぞれの味なのだ。
気軽に泊まりに来れるお気に入りが見つかってよかった。
さぁ、高山でも行ってくるかな。
マックも高山を闊歩してるかもしれない。
松宝苑 宿泊レポ (1/2)
松宝苑 宿泊レポ (2/2) ←いまここ
関連記事:
関連記事はありません。