板室温泉 ONSEN RYOKAN 山喜 宿泊レポ 後編

板室温泉 ONSEN RYOKAN 山喜
宿泊日 2009年4月
お部屋 椛(もみじ)

 

食事の時間になり、1階の個室の食事処へ下りていきます。どこからか水の落ちる音が響いている。

 

柚子の食前酒で口の中がさっぱりさせて前菜へ。鯛子の旨煮やエシャロットの行者にんいくなど。ウドの煮物がこんなに旨いのは発見だった。薄味にて上品な味わい。洗練された山菜料理。

山菜の沢煮椀。たらの芽、こごみ、うるいなど盛りだくさん。汁は体内にすーっと溶け込んでいくようだった。

 

造りは甘えびや鯛など。妻にまで細かい細工がしてある。苺と酢味噌のソースでフレンチのように遊んでいます。器のチョイスもナイス!「料理長は野菜が大好きなんです。」たしかに愛情がにじんでいる。

大好きな筍の炭火焼。季節がちょっとずれていたので、地物ではなかったのですが、季節には宿のすぐ裏でも採れるそうだ。甘く、香ばしく、筍のこれ以上の食べ方は無いですね。

新じゃがのから揚げはアンチョビペーストをつけて。顔がほころび、お気に入りの一品に。天ぷらもさくっと揚がっています。
調理場がすぐ近くなので、食べごろを逃しません。のびるの天ぷらは玉ねぎのように甘辛くて美味しかった。

ご飯もふっくらやわらかく、でも粒粒はひとつひとつたっている。ご主人の実家が農家でそこでつくっているのだそうだ。

デザートは日本酒をゼリーに。

一品ずつ料理を運んできてくれるスタッフもとても感じがよく、楽しく打ち解けることができた。

 

 

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男女別の大浴場は夜の時間帯のみ無料の貸切風呂になっていた。
露天風呂の向かい側は山なので、静寂のなかの露天風呂です。

 

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琉球畳にマットレスベットの寝心地はぴか一。

 

 

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さわやかな朝、部屋のビューバスでまっさらな源泉のまろみ感のある湯と檜の感触を存分に楽しんだ。
ビューバスというのは、露天風呂ではないが、半露天風呂をもっと控えめに言ったネーミングだろう。

 

 

朝食もさすが、大満足でした。

 

朝食の後にふたたびゆっくり温泉。
チェックアウトの時間までまでお風呂が使える。これは本当にうれしかった。

 

 

 

 

『「素」が息づく 肌心地』

車の通りも無い道路を老人が一人歩く。眠ったような温泉地。
昔ながらの湯治場の匂いをのこす板室温泉は、春の陽気も手伝って一層のどかだった。
階段を落ちる温泉の音が静かに迎えてくれるOnsenRyokan山喜は、「小さな美術館に来たみたい。」そな第一印象でした。
チェックインのときの何気ない会話から、どことなく家族経営的な温かさが伝わってくる。そして部屋に入ったときの安堵感がなんとも心地よかった。素足で歩くと気持ちのいい木の床、安堵感を覚える珪藻土の壁、ふんわりと肌触りがいいフェイスタオルにバスローブ。浴衣代わりお作務衣は自然素材の麻で、地肌に気持ちがいい。小上がりの琉球畳に敷きっ放しになんている布団にゴロリ。なんだこの気持ちよさはっ!なんだか家にいるような居心地。

この宿、実は見晴らしは期待できない。ご主人自身がそのことを一番知っていて、そのためお宿の全面リニューアルに際しては視線が内へ向くように、中庭を囲む京都の町屋スタイルに行き着いたらしい。この地に生まれ育ったご主人の思いは、“どこかの宿のコピー”ではなく板室温泉にしかない宿を作りたいというもの。そのために旅館専門の設計士ではなく住宅を手がける設計士とこの宿の姿を構想したのだった。

一番の思いでは、料理の時間。食事処は個室で、どこからか水の落ちる音が響いている。親しみやすいスタッフが一品ずつ懐石料理を運んできてくれる。そのおねえさんが「料理長は野菜が大好きなんですよ。」と話すとおり、地元の食材を慈しんでる様子が料理から伝わってくる。下戸の自分だがちょっと飲んでみたくなった。ほろ酔い気分でのあの幸せな食事の時間は、泊まってから数年経つ今でもありありと思い起こすことができる。

ビューバス付きにこだわらなければ一万円台から泊まれるなんて、この圧倒的なコストパフォーマンスは始めて船山温泉に泊まったときを思い出した。
ニコニコで宿を後にすると、板室温泉は桜の景色だった。

 

レポートの下書き

 

(前編はこちら)

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