甘くない赤ピーマンのケーキー 初めて食べた時に衝撃を受けた「赤ピーマンのババロア」が2014バージョンはスポンジケーキになって登場。(「赤ピーマンのババロア」はいまでも「COURSE:CREATE」や「創作いらご会席」のコースで食べられるようだ。)

塩漬け卵とバジリコの冷製きしめん

ミニトマトの梅酒マリネとトマトウォーターと紅茶の緩いゼリー んお?っ、紅茶とトマトが合わさるとこんな味になるのか、こりゃ発見。

海の石と食べられる海の石 むむむ、これは一体・・・。味の予測すらさせない作戦か。

牡蠣のオイル漬け ぷりぷり感そのまま牡蠣の旨みの凝縮、さらに濃厚!!

車海老海水〆 この美しい2層のグラス、レモン色の部分はオリーブオイル、そして透明な部分はなんと海水なのだ。

車海老海水〆 「これなんて海老ですか?」と、思わず尋ねた。「車海老ですよ。」と若女将さん。刺身より甘みがはっきりとし、歯ごたえはプリップリ。そうか、あの”低温火入れ”が行われているのか。

マッシュルームと小女子のブルーチーズがけ 車海老海水〆の左上にある品を見てほしい。これがタダゴトじゃない。他に比べ見た目が地味で、写真もすっかりぼかしのエリアに入ってしまってるが、食べてみて唸った。小女子のブルーチーズの組み合わせなんていったい誰が思いつけるというんだ。

柔らか鮑のスープ煮込み

柔らか鮑のスープ煮込み

お造り 石鰈×鼈昆布 本みる貝 烏賊素麺。みる貝うまかったー!

キャンバスの上の伊勢海老 醤油の代わりに、山葵ゼリーと醤油粉末でいただく。後ろに見えてるラスクにのせて食べます。

ベビーリーフと蕎麦の実、蛸のサラダ 苺酢のドレッシング 産地ならではのイチゴのソース、これが超美味なのだ。

あつみ牛 味噌漬けロースト

三河鰻の黄金揚げ 赤と黒のソース

口なおしに柚子氷 柚子100%シャーベットの大人の味で、味覚をリセット。

メロンゼリーとブランマンジェ 八角風味のソースアングレーズ」

ソルティーナのチョコレートがけ ハイビスカスティー

翌朝 翌朝、窓から外を見るとすっきり青空だった。チェックアプトの後はあのフェリーに乗って鳥羽・伊勢方面へ行く予定。

朝食 一品一品、丁寧なつくりです。ここ渥美半島は貝の半島。なので味噌汁には大振りな貝の実!

 

 

Uターン

渥美半島のはいつ来てものどかだ。
長い海岸線、岬の先端、レトロな灯台、見渡す限りの野菜・フルーツ畑。
前を走るのは大抵軽トラだ。

宿の前に立つ。
よくある昭和のコンクリートの建物のその上から、ポップなコーティングを施してある。
これはコーティングを施す以前の話。予約の客さんが車で目の前まできて、その冴えない外観をみてそのままUターンして帰ってしまったということが1度や2度ではなかったらしい。
その当時からすれば、進歩だろう。
しかし料理のほうは進歩どころではない。

 

もっとも旅館らしくない料理

「これなんて海老ですか?」

と、思わずたずねた。
美しい2層のグラス、レモン色の部分はオリーブオイル、そして透明な部分はなんと海水なのだ。海に見立てたグラスから、串で海老を釣り上げるという趣向だ。

「車海老ですよ。」

と料理を運んできてくれる若女将さんが教えてくれたが、今まで食べた車海老とは明らかに違う。
刺身より甘みがはっきりとし、歯ごたえはプリップリ。そうか、あの”低温火入れ”が行われているのか。低温火入れとは、細胞を壊さないギリギリの温度と時間で火入れをすることで、以前食べた「ソフトに火を入れた赤座海老」という小久保さんの料理で使われたテクニックだ。
「マッシュルームと小女子のブルーチーズがけ」がタダゴトじゃない。見た目が地味なので写真すらろくに撮ってなかった品だが、食べてみて唸った。今まで経験したことのない味わいが口に広がる。小女子のブルーチーズの組み合わせなんていったい誰が思いつけるというんだ。
小久保さんのcourse iragoシリーズはいるもこんな驚きに遭遇する。
もっとも旅館らしくない料理を出す宿の一つがこの岬のオーベルジュだ。

 

食べるアート 小久保ギャラリー

今日は1日一組限定でしか作れないというコース料理の新作、「course irago 2014」を頂に来ている。
「course irago 2014」は渥美半島の自然が風土が、皿に再現されているかのよう。でも気軽に自分の部屋で、箸で食べる料理なのだ。
「先端の伊良湖岬を中心に若干の半径で入荷できる食材をクローズアップして料理を構成しました。」というとおり、この伊良湖岬の魚介・野菜・フルーツの味を活かしきっている。

「起きている間ずっと料理のこと考えているらしい」と大女将が言うように、彼は努力の天才です、きっと。
最近雑誌などにも取り上げられるようになっているが実はもともと料理人ではない。
誰かに付いて修行したこともない。おそらくそれが独創的な料理を生む土壌になってるのだろう。
人間、コンプレックスやハンディキャップがあったほうが輝く力が沸いてくる。温泉でもなく、建物だって昭和、そのハンディキャップが有ったからこそ、小久保さんの料理は輝きを放ち始めたと思っている。

ファットダック、エル・ブジ、モードスパニッシュ・・・彼の発する単語が、あるときからがらりと変わった。世界最先端の調理技術を意識するようになったのだ。
地元の食材を使っいながら、今までだれも見たこと無いような料理が生まれてくる。それが、やがて食のプロに注目されソトコト、ブルータス、自遊人などの雑誌にまで登場するようになった。快挙としかいいようがない。

小久保さんは料理のあたらしい可能性に挑戦している気がする。
「おいしい」「おいしくない」という評価軸からもう一歩踏み込んだもの。
もっと心にくっきり焼きつくような五感の刺激、伊良湖という場所でなければ味わえない食体験。
料理に潜むそんな可能性を掘り起こそうとしているように感じる。

「だれも付いて来れないんじゃないか?」

ってハラハラするくらいマニアックでアートで前衛的な料理は、いつもぼくのイマジネーションかきむしる。時にかく乱する。
それでいてただ見た目を飾っただけの料理ではない。facebookを見ていると、下ごしらえにかなりの手間隙をかけている様子が伺われる。そしてアートな料理の後ろには、この海が、野菜・フルーツ畑が広がっている。
チェックインする前に見てきた伊良湖の海や、窓を震わす風の音だって、料理の一部なのかもしれない。

 

 

?岬のオーベルジュ ニューいらご 前編
岬のオーベルジュ ニューいらご 後編?     ←いまここ

Leave a reply